データ分析やAIが一気に広まるにつれ、数学をちゃんと学び直すという人があちこちで目立ってきた。
「受験数学くらいちゃんとやっておけ」という主張が目立つようになったが、ストレートに申し上げるとこの主張は一点の曇りなく正しい。
ひとつ重大な要素を付け加えるとしたら、義務教育や高校を超えた大学数学の範囲から大掴みすることが本質であり、これでパーフェクトになる。
私はこの正しさと重大さに気づいていたゆえ、大学ごとに対策が必要となる一般入試で、伝統的に数学が課される大学に合格しておいた。
その上で、重大な限界も見えていたため、教育史という人文系の専攻を選びつつ、家業の工学分野に行き着く統計学とモデリングにハマっていた。
この正しさと重大さの掛け合わせから見える事実として、
「学習指導要領の範囲を超え、読書で粗々大掴みしたほうが、かえってわかりやすい構造になっている」
「PythonやR言語やExcelを併用しつつ、大学レベルやその先の数学を習得したほうが、研究にも実務にも有利でである」
と言い切って差し支えない。
高校までの範囲に規定される大学受験の内容は確かに基礎ではあるが、
かえって大学数学の範囲である「解析学や集合論や線形代数や、その周囲の数学史」から見定めたほうが、理解も活用もしやすい。
無論、試験対策にオーバーワークは御法度だが、
受験数学をあっさりパスして大学とそれ以降で活躍する人は、理解や活用の読み物を通じ、ドメイン知識として触れている。
SNS上で「数IIIを必須にせよ」という声がちらほらあるが、正しさの反面でこれは重大な断片化どまりで終わる。
知識不足に陥ってしまい、実務にも研究にも使えないためだ。
本質はとてもシンプルであり、「義務教育をクリアしたら、大学数学を噛み砕いて最短距離で近づくこと」が大事なのである。
現実解。
学習指導要領や受験勉強は、構造上疑うことが許されないから、どこかで超える必要がある。
自分の頭で問いを立てるまでが、教養や専門や実務のお仕事だと、ちゃんと腹落ちしておこう。
追記。
疑いの実装形として、数学はExcelでもプログラミング言語でもWolframでもGeogebraでも、道具を使って学んでいい。
ボックスコックスネット、遠藤武。