論破することの本音。

daily6 人と技術と成長。

論破するという発想は、そもそも論理的ではない。

感情的になっているゆえに、論破したがるのである。

論理的思考は、「論破」という言葉を通して、いくらでも感情的になる。

 

現実解。

世界レベルの大学でまともに議論を鍛えたことがあれば、

論破ではなく対話を教わると知っておこう。

ディベートはあくまで競技であって、

知識人に必要なのはディスカッションということだ。

 

経済の問題にしても、政治の問題にしても、

何でもかんでも相手をボコボコにしたがる人は多いが、

現にそれで幸せを感じる人は一人もいない。

むしろ恨まれるだけである。

刃傷沙汰にもなりかねない。

わざわざ裁判を何度も起こしている人が幸福だと言えるだろうか。

SNSのレスバトルは、承認欲求を満たすための手段である。

マーケティング的には、忘れ去られないようにするための細工に過ぎない。

(立ち居振る舞い悪く炎上させるのは、文字通り小細工だ。)

 

ここまでで、どんな論理が見えただろうか。

論理的思考に必死に囚われて、

レスバトルに逃げる人ほど、

論理が壊れていたり、

事実を無視していたり、

論理にほころびがあることに無自覚なのである。

どうにか論破しようとSNSでレスバトルする時点で、

そもそもウラに誤魔化したい物事が隠れており、

その奥にはコンプレックスや見たくないものがある。

要は、事実を事実として受けいれない、残念な態度なのである。

 

これらは論理を使っているように見せかけて、

本音は感情をそっくりそのままぶつけているだけだ。

本音は論理に直接乗っからないが、

本音についてウソやごまかしがあるので、

論理の端々にバレバレのほころびが出てくる。

要は、論理は論破の手段どころか、

ウソを隠すためのおまけにすぎないということだ。

これを知っておけば、

論破してくる人について、

「なるほど。得も言われぬ感情を、論理の大義名分で隠しているのね」

と、冷静に見つめることができる。

それ以上の論理は、そこにはない。

いくら反論しても、感情論で終わる。

事実についての検証や懐疑があって、

初めて知的生産になるわけだが、

このとき感情と論理は区別する必要があり、

感情そのものも分析対象とする必要がある。

 

SNSでくだを巻いているなら、

それは個人のマーケティングか、

忘れ去られないようにするための小細工だから、

なおさら放置プレイして、

向こうに気分よく独り相撲を演じてもらえばいい。

ボクシングにNo contest(無効試合)があるが、

実社会では内心の自由を行使して、

No contestに強引に持ち込む側こそ、知的強者である。

わざわざ論破に加担するのは、

向こうの退屈な土俵に引き込まれるだけだ。

それなら徹底して無視を決め込む土俵を作るか、

最初から関わらない土俵を用意すればいい。

2000年代以降、すべては小粒化しているので、

いちいち関わらなくても問題ない。

向こうが勝手に自滅していくことなど多々ある。

いくら論破がうまい演出が出来ても、

法的に出るところに出たら、

根っこは感情なので確実に負ける。

 

たったそれだけわかっていれば、

退屈な物事に巻き込まれずに済む。

論破したがりのマウンティング野郎には、

感情を吐き出させておいて、

さっさとこちらから退散すればいい。

ウェブ上で情報が氾濫するからこそ、

氾濫する情報は一度見たらカットして、

「これだ!」という物事を徹底的にご贔屓にすればいい。

もう一度繰り返しておくよ。

論破はそもそも感情を出しているだけ。

論破は関わる必要のない炎上マーケティングを疑う。

論破に誘導されるのは、いつもその他大勢。

 

その他大勢になるのが嫌なら、

その他大勢がなびくような「論破」という、

「パンとサーカス」に近寄らないだけで大丈夫。

ちなみに古代ローマのサーカスとは見世物で、

剣闘士と呼ばれた奴隷たちが血で血を洗うバトルだったり、

猛獣を解き放つ凄惨な殺し合いだったりと、

感情を高揚させるための論理があった事実をお忘れなく。

論破は、形を変えた見世物なんだよね。

 

boxcox.net、遠藤武。

 

 

 

 

遠藤武(えんどう・たける)
グロースハッカー。
endoutakeru

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■遠藤武のやっていること■

・経営トップ向けに「仕組み化」のプライベートアドバイザリーを手がけています

・中央経済社『旬刊経理情報』誌にて、仕組み化とデータ分析に関する見開き2ページ連載記事を、2022年7月より月2〜3回ペースで執筆しています
(2024年8月に50回を超え、書籍化企画を進めています)

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