実は仕事も勉強も研究も、
年を追うごとに、
右肩上がりで高度化している。
特にITやプログラミングでは顕著で、
30年前と現時点では、
根本的に求められるものが異なっているんだよね。
30年前にもAIは身近にあった。
ドラゴンクエスト4という1990年発売のロールプレイングゲームで、
敵の戦闘は、ほぼすべてAIだった。
とはいっても、
敵を一撃で死に至らしめる「ザラキ」の呪文を、
初見の相手に何も気にせず使い放題して、
「呪文は効かなかった!」を繰り返したように見える、
ヘンテコなAIだったけれど笑
後年にAIの仕様がゲーム好きに明かされ、
この仕様の詳細が明かされるのだけど、
今AIソリューションが多数ある裏側に、
このようなヘンテコな過去があると思うと、
感慨深いものがあるよね。
IT業界についても同じだ。
2020年の今にIT業界に関わる人で、
ろくにコードが書けない人は、
だいぶ減ったんじゃないかなと思う。
SIer(システムインテグレータ)や、
SES(技術者の派遣会社)や、
昔からSAP ERPの導入ばっかりやっているIT系はさておき、
基本的にITシステムを使うユーザー側で、
自分でデータを処理する必要が出てきた。
データの民主化と言われているけど、
この本質は徹底的な高度化だ。
高度化するということは、
付加価値の低い事務員はお払い箱ということ。
「システムを使う事務員」というのは、
企業でパソコンが1人1台支給される前の、
電卓を叩いて計算して帳票を書くだけの人と変わらないよ。
ある程度コードが書けないと、
そもそも分析ができない。
1万歩譲ってコードが書けなくても、
分析ツールを使うことができない。
データを扱えないならば、
経営につかうKPI(重要業績評価指標)すら、
わからないことになる。
わからないまま終わると、
キャリアまで終わってしまう。
逆に「分かる側」は、
高付加価値をひたすら歩むことになる。
企業の数字の基本は複式簿記だ。
今はここに数理統計学が含まれる。
会計がわかって経営企画やFP&Aができても、
数理統計学を用いた分析ができないなら、
サプライチェーンマネジメントや、
需要予測や価格予測ができない。
もともとはこのようなことが出来る人自体、
圧倒的に少数派だったけれど、
今はどの企業も「データ使える人募集!」
という状況にガラリと変わってしまった。
何が高度化なのかはさておき、
データを使える人からしたら、
ゲームで遊んでいるのと実は大差ないんだよね。
遊び呆ける程度の意味のゲームではなく、
本気で充実して楽しいという意味でのゲームだ。
スポーツの試合をゲームと呼ぶけれど、
まさにその感覚だと言っていい。
高度化すればするほど、
「自分はプログラミングだけは書けます」とか、
「自分は会計だけはわかります」とか、
「自分はマーケティングだけはわかります」とか、
「自分はマネジメントだけはできます」では、
何もできなくなってしまうんだよね。
その逆に、
普通では珍しい組み合わせで、
複数知っている人に対しては、
生き延びるチャンスが自ずと出てくる。
はっきり言って少数派なので、
常にマーケットは「ないものねだり」だ。
だからこそ、ちょっとだけ学ぶ勇気があれば、
このチャンスは確実につかめる。
右肩上がりで高度化するということは、
高度化する気がない現状維持組が淘汰され、
高度化する勇気のある読書組が生き残る。
ないものねだりだからこそ、
読書だけでも実は効果がある。
高度化の本質は、
実はそうとうアナログなんだよね。
グーグル検索が、
論文の被引用の仕組みに着想を得ていることなんて、
ものすごくアナログな事実だ。
文字通りアルゴリズムに読書のような挙動をさせて、
ウェブ上のコンテンツが決まる。
ゴミみたいなコンテンツは弾かれる。
この仕組みのおかげで、
高度化する勇気のある読書組が生き残るからこそ、
いろいろな物事が陳腐化した現代でも、
まだまだ右肩上がりが成り立つんだよね。
boxcox.net、遠藤武。