事務処理は付加価値を産まないので嫌われがちだが、
1つ1つが積み重なって価値を作るため、
1つ1つの要素を先回りして知っておくだけで、圧倒的に実力差が出る。
クラウドツールでもERPでもAIでもRPAでも何でもいいのだが、
仕組みや重要性を知っているからこそ、
自ずと自動化にメリットが出るのである。
自動化するだけして中身を知らないのは、
手動の仕事を漫然とやるよりも危険だ。
手動で経理をできるからこそ、
自動化した際のありがたみが心底わかるのだ。
データ分析の仕事をしていると「あるある」なのだが、
デスクトップでの処理をExcelやPythonやコマンドラインで、
徹底して自動化して欲しいデータを出す必要に駆られる。
自動化しないなら、そもそも効率が下がってしまい、
やる意味がないことになってしまう。
データ分析は物事を便利にするための手法だが、
分析のための下準備で不便や手間を省けないようでは、
生産性はいつまで経っても上がらない。
「分析は、8割以上がデータの前処理」
というのは、ここ5年くらいでようやく広く知られるようになった事実だ。
前処理という理解と準備があってこそ、
生産性が10倍や100倍になるのである。
そうでなければ、私のサラリーマン時代、
目の前に上司がいないフルリモートの状態で、
完全にゼロからデータを整頓し、
効率的に動くことなどできやしなかった。
何もこれはデータ分析だけではない、
事務処理もしかり、
誰かと一緒に仕事することもしかり、
複数の物事を1つの仕組みに落とし込む上で、
細かい論点の挙動を知っておくことが必須ということだ。
仮に分析や自動化のためのプログラミングが理解できないとしたら、
全体像が見えないのか、
個別論点が見えないのか、
現状の何を分析して何を自動化したいのかが、
定義されていない状態だと言っていい。
「PDFでやってくる書類の名前に自動的に日付を付して保存したい」とか、
「ファイル名のリストを作りたい」とか、
具体的な行動に落とし込む必要がある。
これはプログラミングだけでだけでなく、
人間が仕事を処理する上での行動の仕組み化も全く同じだ。
例えば仮に中小企業で、
最上流工程を経営者、中流〜下流工程を事務スタッフとし、
現状では、経営者の逐一の指示なしには、事務スタッフは動けないとしよう。
目指すべき将来像は、
できるだけ事務スタッフだけに動いてもらい、
経営者は承認するだけという流れを作るとき、
経営者は自分の仕事を定義し、
自ら手を動かして明文化し、
事務スタッフに受け渡す必要がある。
必要な材料は具体的に何なのか、
具体的な帳票の処理に時間を何分かけるのか、
A4で1枚に収まる程度にコンパクトに書いておけばいい。
たったそれだけで、仕組みが自ずと出来上がる。
また、もし経営者である資格職(弁護士や公認会計士etc)が、
最上流工程に自分でやる要素が必ず残る場合も、
最上流工程を自ら手を動かして明文化することが、同じく必要だ。
事務局や事務スタッフがやる中流〜下流工程の仕事と、
連携させて可視化すればいい。
これは最上流工程である経営者の仕事が、
明確にならないと定まらない。
まずはこの事実を認める必要がある。
事務処理ひとつとっても、
思い違いが生じるからこそ、
実力差が思いっきり浮き彫りになるんだよね。
帳簿や税金なんてその典型例でしょ?
事務処理を笑うものは、
事務処理に泣く。
だからこそ一つ一つ丁寧に知っておくだけで、
実力差が明白になるんだよね。
boxcox.net、遠藤武。