経営における経験年数と品質。

daily0 本音たち。

「特定の1つのビジネス分野について、経験年数25年のキャリアがある」
という経営者と複数関わったことがある。
いずれも北米生まれの、日本とは関わりが全くなかった方々だ。

その人らに共通して言えるのは、
25年間、ずっと外に出て学ぶ勇気が無かったから、特定の1つのビジネス分野に固執した
ということである。

はっきり言ってしまおう。
「こんなずさんで古臭い人が未だにいたのか…」
と、むしろ感心させられた。

ご自慢の25年のキャリアは、
・財務会計・管理会計や監査・内部統制
・他のメジャーな分野(金融・統計学・コンピュータサイエンス・SCM)
といった知識で、全て半分未満の年数(3分の1くらい)で上位互換できてしまう。

次から次へと見ていこう。

彼らの成果物に目を通した感想。
アウトプットの質はお世辞にも良いとは言えない。
財務モデリングの中身が明らかに知識不足。
自慢げに語っていた価格設定手法は、5分で構造を読み解けて、3時間で再現できた。

話してみた感想。
マネジメントは極めて古臭いままである。
知識のアップデートが全く出来ていないし、異分野の知識も教養もどこにもない。
ティール組織などを話しても、キョトンとしていた。

ここから言えること。
挑戦せず同じことをずっと続けたために、経営側として提供できるサービスの品質が、思いっきり悪くなる。
ろくに知識を仕入れないままでも大丈夫なぬるま湯に浸かっていたものだから、頭を使う機会がガクッと減る。
その結果、不自然でバレバレのハッタリをかまして、ごまかしに終始してしまう。

知見。
大事なのは、研究者気質と技術者気質と芸人根性だ。
常に己をして学生たらしめ、楽しませる発想が必要なんだよね。

ビジネスなんて、売上が立って利益が出てしまえば、
バレバレのハッタリで続けることなどいくらでも可能だ。

少し知識を入れて、少し知恵と勇気を出して動く、そのためのハッタリは大事だ。
でも成長ができないならハッタリはただの嘘つきでしかない。

こういうハッタリは、学問の基礎分野では明らかに難しい。
売上と利益でなく、深掘りが必要になるからだ。
だからこそ学問が尊敬を集めるんだよ。

ビジネスに限れば、経験年数と内容なんて、ぶっちゃければ全然関係ない。
せいぜい10年もやっていれば、プロはプロとして全ての分野で通用する。
学問ができる人は基礎があるので、実はビジネスへの参入はそんなに難しくない。

ビジネスのプロとしてのキャリアは、10年ちょっとの年数で、
複数のヘッドハンターが掛け値なしに「すごい!」と驚嘆すれば合格だ。
けれどもそう評価された当人は、原理原則に基づいて共通点を見出し、
あくまで淡々とやって成果を出しているだけなんだけどね。
最初から起業してしまう人は、ヘッドハンターなんかにお世話にならないけれども。

これと反対に、20〜30年もやろうとすると、1つの分野にしがみつく以外になくなる。
同じく「すごい!」とヘッドハンターから評価してもらえたとしたら、
その中に有名な企業の管理職の経歴があるという理由かもしれないし、
「すごい!美味しい!転職市場で高く売れる!」ということかもしれない。

実態は、経年劣化が進んでいて、知見が広がらない。むしろ劣化が悪循環するだけだ。
そもそも、20年以上も同じ業界で経営を続けようとするならば、何らかの抜本的なアップデートやレベルアップが必要だ。
クラシック音楽の指揮者と違って、経営は円熟するのではなく、どこかで既存の路線を外れる必要が出てくる。

それをしないでいるとなると、何もかも誤魔化しながらやるしかない。
誤魔化しの質も劣化していって、嘘をつくしかなくなっていく。
ビジネスで醜い人やカッコ悪い人というのは、全てこれだと言っていい。

兎にも角にも、ビジネスでは、
キャリアの年数なんてサービス出来る内容とリンクしていない。
要は、短期間でも抜きん出るチャンスなんていくらでもあるということだ。

それに気づけるだけで、堂々と前向きになれるよね。

..遠藤武

遠藤武(えんどう・たける)
グロースハッカー。
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■遠藤武のやっていること■

・経営トップ向けに「仕組み化」のプライベートアドバイザリーを手がけています

・中央経済社『旬刊経理情報』誌にて、仕組み化とデータ分析に関する見開き2ページ連載記事を、2022年7月より月2〜3回ペースで執筆しています
(2024年8月に50回を超え、書籍化企画を進めています)

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