「書籍でMVV作りについて言及していらっしゃいましたが、なぜMVVは難しくなってしまうのでしょうか?『ひとことバリュー』で良いと書籍にあったのですが、そこに行き着くための発想はありますか?」
まず理解しておくべきことですが、経営理念とは、
・行動のハードルを下げる
・行動の方向を示す
・価値観を揃えて価値を出す
ためのシンプルな道具です。
どんな言い方でも、どんな単語でも、
価値・価値観・勝ちパターンを繰り出せれば、事足ります。
それゆえ「ひとことバリュー」で十分なのです。
生々しく言えば「ワクワクしながら売上と利益を勝ちパターンとして残すための、シンプルな道具」が、経営理念です。
そうではない理念は、率直に申し上げてただの自己満足です。
ありがちな理念の失敗が起こるのは、単なる自己満足です。
情熱を乗せて心酔するだけで終わったり、
やたら哲学的で難解なだけで理解されなかったり、
身の丈に合わず具体的なエピソードもないものだったりすると、
行動を伴わず結果のプラスなど起こりません。
これはもったいない無駄行動であり、せっかくある勝ちパターンを活かせていないだけなのです。
ワクワクしながらプラスをつくる理念は、
・行動のハードルを下げる
=ターゲットになる方の心を動かし行動しやすくする
・行動の方向を示す
=わかりやすくシンプルな言い回しにする
・価値観を揃えて価値を出す
=背伸びせず具体的な自分「ならでは」の勝ちパターンエピソードを使う
ということが大前提です。
自分の勝ちパターンで、人を動かすのですから、ワクワクしないはずがありません。
私は、自分の屋号をボックスコックスネットとし、理念を「本音に切り掛かり、爽快な別次元をひらく」としています。
これだけなら、とてもシンプルです。
実はこれにも、行動と価値・価値観・勝ちパターンが反映されています。
ワクワクするエピソードがきちんとあります。
屋号は、アナリスト3年目の27歳にFAS事業のゼロ立ち上げを1.5人で行い、ゼロから1年で時価総額2千億円超の船舶投資案件を評価したときの統計手法(統計学者のG.E.P.BoxさんとD.R.Coxさん)にちなんでいます。
FAS事業立ち上げで、当時のピンチを打破した事実も込めています。論文を読み、自分で作った統計モデルが売れた爽快感は、私の勝ちパターンの原点です。
理念は、アナリストやマーケティングやFP&Aで本音を想定し分析することの大切さを知り、結局は理屈ではなく爽快さしか残らないと思い知ったことによるものです。
「別次元」という単語は、シンプルと複雑を行き来するファイティングポーズであり、かつ統計学(とその基礎である線型代数)で扱う次元の概念を使っています。
科学の技法でもあり、かつSFのような面白さもあり、分析も仕組み化も含ませています。
とはいっても、これらの詳細をわざわざ説明などしません。
全部出すと、難しくなってしまうためです。
とてもとてもシンプルに、本音を「分析」し、次元を変えて「仕組み」に乗せていくだけで、勝ちパターンに行きつけるのです。
バッサリ切っても、事足ります。
現実解。
バッサリ切ってシンプルにするほうが使いやすく、特に「バリュー(価値・価値観・勝ちパターン)」が出やすくなります。
MVVが難しすぎる場合や、作ったわりに普段から使われていない場合、難しすぎる可能性を疑ってみてください。
シンプルにすることで、勝ちパターンが出てくるというのは、よくある話です。
ボックスコックスネット、遠藤武。
