校則がなく、自由な校風を誇る学校は、数もレベルも非常に限られている。
大多数に受験機会のある、高校に絞って考えると、
・私服通学OK
・頭髪規定なし
・そもそも法律に反しなければOK
という「校則のない校則」を持つ全日制の高校は、ごく一部だけだ。
この校風はもっぱら、
・伝統と特色がある(時として偏差値の序列から上にも下にも自由な)私立中学・高校
・国立大学の附属(中学)高校
・有名私立大学の附属中学・高校
・地域の豪族のような公立高校や高専
という学校群に偏在している。
上記以外の99%の高校は、校則で制服が定められ、それどころか頭髪検査や持ち物検査が日常的に課される。
いかに「うちは自由な校風だ!」と自称しても、このようなフルスタックの自由があるとは限らない。
学校によって、自由に格差があること自体がそもそも憲法に照らせばヘンであるものの、現状では「選べる側」に立てるよう学ぶ以外に、この解決の手立てがない。
当たり前の自由を享受したければ、勉強に励んで権利を勝ち取るか、序列にとらわれない私学に進学するのみだ。
「大学受験もそれ以降も、自主・自律・自由にさせるなら、どの学校でも同じ結果が出せるようにしよう」と、腹を括るのみだ。
現に、偏差値の序列からもラディカルに「自由」な私立学校(「反受験産業」と言うべきレベル)から、世界ランキングで上から数えたほうが早い大学に進学するケースがある。これは進学率や数の問題ではなく「どれだけやり抜く人がいて、それを支える環境があるか」ということが重要だと痛感させてくれる。
実のところ、きちんと運営が出来ている自由な全日制の高校ほど、生徒も教師も荒れた状態とは無縁で、かつ知性的・理性的だ。
自由な場であれば、うまく噛み合うコミュニティが作れると同時に、党派性がない人が多数を占めるという特徴がある。
本当に自由な校風とは、群れない人を輩出する場のことなんだよね。