「最近、SNS上で研究歴と学歴を出すデータ分析分野のアカウントをよく見かけます。これらの方々について、研究やそれに連なる実務の実績や知見を見定める方法を教えてもらえますか。本当に実力やドメイン知識があるのか気になりました」
その人が自由に考えて、価値観を根底から掘り返しているかに目を向けましょう。
まず大前提として、
「学士課程で専攻を自由に決定できる」
という仕組みは、自己決定する精神や観察眼を育む上でとても大切です。
これがドメイン知識の基礎にやってきます。
逆に言うとこれがない場合、基礎ゼロの洞察や発想に終始し、タコツボ化して終わります。
要はドメイン知識の不足に追い込まれます。
本題です。
データ分析に関わってきた立場として率直に申し上げると、
仮に経歴がピカピカに見えても、
その経歴が専門分野での業績や評価につながっていないケースが多々あります。
見るべきポイントは、
・学歴とそれに続く職歴の中身(実力をつけてきた過程が読める)
・研究や開発や職務遂行上の具体的実績(研究室所属歴はただの下請けどまり)
の2点であり、とても具体的な中身に行きつきます。
実力があれば、20代のうちに研究や技術開発で実績を出して、何らかの誌面(学術誌や業界誌)に関わるはずですから、本業以外のことなど関わっているヒマはありません。
現にアナリスト時代の私も、論文を読んで実装してサービスをリリースすることに明け暮れながら、業界誌で連載を持っていました。
本業で活躍しているのですから、深掘りする内容に関係のない場合、見向きもしませんね。
これと逆に、生々しいことを言ってしまうと、大学入試の話題から卒業出来ていないわりに研究を標榜する匿名SNSアカウントの場合、
本業の研究がお留守になっていることがとても多いです。
それは本業から現実逃避しているためです。
実際に連載する立場として、本業で実績があり盛り上がっていれば、実名を出して淡々と商業出版するほうが得です。
個別で受験対策が必要な英語や数学は、それらの合格を経て、
大学以降の内容を習得していると、メタ的に見下ろして「こんなものか」と捉えられるまでが答えです。
多岐にわたるドメイン知識について、大学(ないし大学受験)までの内容を適用させるのですから、これも当然のことです。
実務や研究の実力は、そのような当たり前の積み重ねと、解像度の上下でわかってしまうのです。
現実解。
とはいえ、実務や研究は地味な10年スパンのマラソンであり、とてもニッチです。
受験対策という18歳までのわかりやすい土俵で大活躍できれば、それも立派な実績のはずです。
受験対策は模範解答のあるコンテストであり、日本独自と言われればそれまでですが、
前倒しで得られる価値や価値観のほうが向いている人もいますから、実力よりも適性を見ていくことが大事です。
根本的な話ですが、実務や研究は、競争と真逆にあります。
一見して愚鈍とも言えるところに位置していますから、コンテストとは食い合わせが悪いことも意識しておくとフェアな判断ができるはずです。
ボックスコックスネット、遠藤武。