私はいわゆる営業マンを務めたことは一度もないが、
「船舶投資」というお金持ちが集まる分野でデューデリジェンス事業を手法から作り、
金融機関から、お金持ちである船のオーナーまで、多様なクライアントに恵まれた。
取り扱った船はバルクキャリア・タンカー・コンテナ船といった貨物船で、
どんなに安くとも1隻20億円くらいの価額だった(高いもので200億円くらいだった)。
これについて統計的品質管理の応用手法と、キャッシュフローモデリングの2つで、時価を算出していた。
今だからこそ素直に言うが、
金額の大きいアセットを扱い、お金持ちの本音が当時見えたのは、
とても有意義だった。
ファイナンスという分野では、不動産と船舶と航空機は似たものとして区分され、
評価手法が技術的に似てくる。
その事実もさることながら、
船のオーナーの実情とはいわゆる富裕層ビジネスであり、
ゆえに考え方や人の性質も似通ってくるのだ。
これはM&AやPEファンドにも近しいところがある。
単なる営業マンでは関わることはできないし、
格式の低い自称コンサル野郎も立入禁止。
格式のある富裕層の発想が必ず求められる。
現実解。
結局のところ、富裕層に敬意を持って好かれることが、ビジネスで成長する早道だ。
船の業界は大規模な企業と富裕層オーナーが混在しており、
営業しかできないヘナチョコな営業マンは皆無だった。
そんな空間で、営業マンではないのに営業成績を上げたどころか、
自分で作った統計モデリングと財務モデリングのサービスが飛ぶように売れたのは、
考えるだけでなく、ちゃんと好かれたからだと即答しておこう。
ボックスコックスネット、遠藤武。