物事を大局的に捉えたとき、実は、
「これは運だとしか言えない」ということばかりだ。
素直にそう認めることにこそ、幸福が隠されている。
現実解。
本当の意味でのロジカルシンキングとは、
「物事はロジカルには進まない」
ということを、心底知った上で、
ロジカルにもエモーショナルにも準備しておくことにある。
全ては運であると、
頭の片隅で思っておけばいい。
そうすれば、試行回数を増やして、
確率を上げる発想に行き着く。
確率を上げる志向を、
感情的にも楽しめるようになる。
何もスピリチュアルな発想を強いたいのではない。
すべてが無矛盾の実力かのように思い上がることなく、
視野狭窄に陥らないようにすることが、
本当の実力をアップデートし続ける上で重要なのである。
例えば、試験勉強で言うなら、
もし「独学で合格を勝ち取った!これぞ実力だ!」と、
思い込んでいたとしても、
独学のための参考書を書いたのは、
自分ではない他人だ。
書店の流通に乗っかったり、
誰かが書評を書いてくれたおかげで、
運良く手に取っているのである。
自分にフィットした参考書を誰かが書いてくれたからこそ、
そしてそれをタイミングよく得ることができたからこそ、
独学が運良く導かれたと思っておけばいい。
これは独学でなくとも、学校や予備校との相性にさえ同じことが言える。
実力や上澄みという競争原理の中にさえ、
ひとつひとつ丁寧に見ていけば、
一人一人の物語がある。
運であり、縁ということだ。
ビジネスも全く同じである。
なおさら縁が大事と言われる分野だけど、
それもそのはず、対価としてお金を払うのは、
常にお客様という他人だ。
圧倒的な実力があるからこそ、
どんな簡単に見えるビジネスも成り立つのだが、
単に実力だけで済んでしまうほどまでに、
ビジネスや就職は実力主義ではない。
運が遠ざかってしまうような、
思い込みや立ち居振る舞いを避けるのは、
ありがちなスピリチュアルではなく、
実力を縁につなぐ演出なんだよね。
実力主義にこそ、運に左右されており、
数多の物語が眠っている。
その事実を知っておけば、
失敗したり想定外があっても、
思いのほか淡々と過ごせるんだよね。
boxcox.net、遠藤武。