「インサイト」の本音

daily0 本音たち。

「えええっ?すごい!」と、つい衝撃を受け、ハッと納得させられる知見がある。

そのような知見のみを、インサイト(洞察)と呼ぶことにしよう。

かといって、何でもかんでも衝撃を受けるほど、人間は単純すぎることもない。

この違いはどこにあるのか探ってみよう。

インサイトの出し手が、衝撃と納得を与えることが出来る仕組みは以下にある。
・大胆かつ繊細な問題提起
・ゴールへ向けたシナリオの設定
・スタートとゴールの差異の埋め方の提起
・上記の語り口調

真ん中の2つは、ロジックで解決できる物事だ。大抵の場合はここで止まってしまう。一方で最初と最後は、ロジックに加えて、メンタル面やその時々の文脈に、徹底して寄り添うことが求められる。「知恵と知識に加え、立ち居振る舞い(ビヘイビア)や優しさがものを言う」と言い換えて差し支えない。

インサイトにハッとさせられることとは、ふと腹落ちして、行動を促される瞬間にあるということである。

この逆。
正しいことを言っていても、ビヘイビアのガッカリ感で、不要な不快感を招くことがある。

「えっ、こんな良いことを言うのに、この程度のボキャブラリーや立ち居振る舞い止まりなのか」

そう思われてしまえば、どうしようもない。

自分で良し悪しを気づける(気づかされる)環境や人間関係や知性に身を置き続けることのみによって、インサイトを出す立ち居振る舞いが初めて保てる。

ハッと納得し、状況を良好に上書きして影響を与えてしまうインサイトは、繊細なビヘイビアと大胆なロジックの(あるいは大胆なビヘイビアと繊細なロジックの)両輪に動かされると言っていい。

この感覚がぶれるような環境に身を置いてしまえば、いくら良いインサイトを出そうとしても、結局は尻切れトンボのままである。

インサイトを出し続けることとは、「おかしいと感じたら自分の世界観を死守するためにさっさと次へ進んでしまう」ことだ。少しでも違和感を抱く環境であれば、周囲の全てを自分の感性と好き嫌いを研ぎ澄まし、こっそりと、かつ自分でドン引きするほどまで、大胆かつ繊細に上書きするシナリオを書く以外にない。

数日や数ヶ月や数年のスパンではなく、100年や1000年や万年以上の単位まで、思考や知識を巡らせてしまおう。大胆かつ繊細なインサイトを、どんな知識や分野に基礎づければいいか。このサイクルで、自ず次になすべきことが見えて来る。

時には、自分で自分をドン引きさせて、少し笑ってみる。そんな知恵を引き出して物事を上書きしていくくらいで、ちょうどいいんだよね。

遠藤武(えんどう・たける)
グロースハッカー。
endoutakeru

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■遠藤武のやっていること■

・経営トップ向けに「仕組み化」のプライベートアドバイザリーを手がけています

・中央経済社『旬刊経理情報』誌にて、仕組み化とデータ分析に関する見開き2ページ連載記事を、2022年7月より月2〜3回ペースで執筆しています
(2024年8月に50回を超え、書籍化企画を進めています)

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