俗にインフルエンサーと呼ばれている層の大多数は、
「学んだフリ止まりの素人さん」でしかない。
この理由に気づければ、インフルエンサーのマーケットが、
どのような仕組みを抱えて、なぜ叩かれてしまうのかが見渡せる。
「インフルエンサーが大好き」「インフルエンサーが嫌い」
「そもそもインフルエンサーが何なのかがよくわからない」
「インフルエンサーとして行き詰まってきた」
という方々が持つべき視点だ。
始めに、インフルエンサーという層ではない、
「学んでいる素人さんでない人」の条件を考えてみよう。
テクノロジー、経営関連、学問・ごく一部のライセンス職・上級公務員、
音楽・美術、文芸(漫画・アニメ・ゲーム)、芸能、政治……。
(参入が比較的しやすく、かつ報われやすいものから順に並べた。)
大多数が理解しやすい分野の一つまたは複数で、
知的好奇心に響く実績を出していることが挙げられる。
いずれも、既存メディアが丁重に扱う分野だ。
また、YouTuberやニコ生主などは扱うコンテンツが動画のため、
文章を通じて活動するインフルエンサーに含めない。
本題に入ろう。
インフルエンサーが「学んだフリ止まりの素人さん」に過ぎないという点にメスを入れる。
事実を大まかに描写すると、
・ふと素人さんとして書き続けた文章から、アフィリエイト報酬が出た
という、5〜10年以上前に得た成果が、フリーランスとしての飯のタネになっている。
これを「フリーランス事業」として捉えよう。
この「フリーランス事業」のリスクは、
・売上が「SNSを通じた広告収入やコンテンツ課金収入等」だけ
・文章を売るにも関わらず、これらが裏目になり学びと品質が圧倒的に不足している
・商材が「等身大の個人の感想」を書き連ねているだけで、事業としての拡張性がない
とざっくり挙げられる。
上記のリスクが、
・フリーランスとしてのプレゼンス低下を恐れて、炎上マーケティングに走る
・フリーランスとしてのプレゼンス低下を恐れて、何も知らない人を子分にして課金する
・学びの足りなさが裏目に出て、ピボットや新規事業立ち上げが出来ない
・学びの足りなさが裏目に出て、タレントとしての品質(立ち居振る舞い)が粗野である
・新規事業立ち上げ(少額投資等)をしたとしても、学びが足りず元の木阿弥
という実情を引き起こしている。
つまり、どう好意的に見ても、
「あまり学ばない素人さんという属性を継続している」いっぽうで、
インフルエンサー事業単独の事業がどこまで続けられるか、
そもそも果たして事業と呼んでいいものか、
いろいろなところで疑問符が拭えない状況だ。
出来る限りシンプルにまとめると、
・ただの「アフィリエイトを使う素人さんらの集団」だった
・立ち居振る舞いや言動が良いとは言えない
・形のない商材(=コンテンツ)の品質が良いとは言えない
ということだ。
要は、インフルエンサーの実績が、アフィリエイト収入を得た事実しかなく、
ビジネスに必要な「投資対効果」「品質管理」「リスク管理」という、
基本的な視点を欠いていたのである。
同じく「形のない商材」を出す立場として、
メジャーなところでは経営コンサルティングが存在する。
経営コンサルティングやそれと近い領域では、
・セミナー1回あたり5〜10万円の参加費
・月1回の訪問あたり20万円〜の顧問料
という、ざっとみてそれほど安いとは言えないフィーを取っている。
これは、この費用を払うに足る利得が、コンサルティングから得られるからに他ならない。
フォロワーが少数だろうと、このような信頼を特定の層から得て、
経営に資するビジネスがいくらでも成り立つのである。
これと正反対のものとして、
・月1,000〜10,000円のオンラインサロン費用
が、悲しきかな格好のインフルエンサー叩きの材料にされてしまう。
ここまでで書いた通り、この原因は、
単にその費用に見合った利得がない品質の商材だからである。
当のインフルエンサーは「そんなことない!必死でやっている!」と憤慨するかもしれない。
しかし品質に注目すると、インフルエンサーが繰り替すコンテンツの内容は、
既に知識としてシェアされつくしたもので陳腐化しきっているか、
専門家による書籍を買って読むことで上位互換できてしまう。
現状では、インフルエンサーを軽々と上位互換してしまうような、
「プログラミングの面白いサンプルコードをnoteで売る」という流れがある。
インフルエンサーは、新規事業としてこれに喰らい付いてきている様子は無い。
「品質が高く役立つコンテンツを届ける」という観点からすれば、
もはやインフルエンサーは古臭くなってしまっているというのが実態の様子だ。
最後に、個人的に見てみたいインフルエンサーのコンテンツがある。
インフルエンサーの財務諸表の公開だ。
少なくとも、炎上覚悟で面白おかしく過ごしているならば、
個人であれ、フリーランスの延長の法人であれ、
財務諸表を公開してみるといい。
大づかみに言うと、ディスクロージャーは、
ビジネスで信用を高めるための術である。
「炎上でも何でも、目立ったものが勝って信頼される!」
そのような作り付けの個人ビジネスであるなら、
財務状況を公開し、その内容についてのツッコミを待つことで、
新たな話題のタネを広く仕込むことができる。
個人が炎上しようと、事業の炎上が明るみになろうと、
「学んだフリ止まりの素人さん」を脱却する覚悟があるならば、
教師(あるいは反面教師)としての話題性に、新たに火をつけることを期待したい。