独自性を高めたいなら、独自性そのものに目をつけるよりも、
ありきたりな定番の物事を増やしていくほうが近道だ。
というのも、独自性は「定番を横展開する」だけであっさり作れてしまうためだ。
例えばIT業界で当たり前の内容に、住宅業界では当たり前でない物事は多い(逆もまた然りであるが)。
そのような例を掘り下げるだけで、「あるある」ネタのごとく、異分野で活用できる物事は、ここだけの話とても多く、中身のある独自性になりうる。
常に「なぜそうなるのか?」という素朴な疑問を入り口にして、
既知の物事を増やし続けるだけで、未知の物事が尽きない。
一定の系統性がある知識を蓄えて扱うことと同時並行で、
現状までで扱われて来なかった論点を素朴な疑問として抽出できれば、
それが横展開における独自性のタネである。
一点注意しておくと、独自性に見せかけた知識不足は、
議論に値しない勉強不足のヘナチョコだ。
基本的人権のなかった時代を肯定して、
「人は昔の制度を通じて支配されたほうが、ある意味で自由である」
という論点を提起していたとしよう。
率直に言って、これは「ディストピア」という、
定番の単語や知識が足りていないだけだ。
これを独自性と言い出すのは、
単に嘘をついているだけに過ぎない。
独自性を出す前に、素直に学び直そう。
それだけでクリアできるケースは、
実はあちこちにある。
..遠藤武