「人には迷惑をかけないようにせねばならぬ」
「人には嫌われないようにせねばならぬ」
そう思っていても、つい口を滑らせて、
人間関係が変わることなど多々ある。
この「ねばならぬ」を、
本音を出して乗り越えるのは、
実は新たな一歩の始まりだ。
というのも、
本音を行動に移せず、
建前だけで過ごしたばっかりに、
今回の人生が嫌な思いで埋め尽くされることなど、
多くの人に起こることだからだ。
であれば、
ついうっかり出てしまった本音で、
人間関係が変わったり、
人間関係が切れていくというのは、
実はとても自然なことなのである。
全て建前で埋め尽くし、
嘘を嘘で塗り固めるような自転車操業を繰り返すと、
その人は自分から潰れるか、
誰かに潰されることになる。
新進気鋭で世に出たものの、
実は宣伝のための宣伝に終始していたり、
実は優秀に見せかけたチンピラだったりと、
本音と建前が揃っておらず、
変に自意識が肥大して、
再起不能なまでに自滅していく人は後を絶たない。
そうなるくらいなら、
先んじてどこかで本音を出して、
関わるべき人とだけ関わるようにして、
自分の土俵を築き上げるしかないのだ。
口八丁で理解されようとするくらいなら、
口下手を隠さないほうが信頼される。
口八丁は本音を誤魔化して小賢しいが、
口下手は本音を誤魔化せずかわいげがあるからだ。
無理に口をすべらせる必要はないが、
口下手でも勇気を振り絞って話し、
口をすべらせることを気にしないほうが、
そもそも説得力が出てくる。
根本的なことを言えば、
礼節がある程度ある仲で、
タブーがありあけすけに話せない時点で、
そもそもその人間関係は破綻しているということだ。
遅かれ早かれ長続きしない。
それをちゃんと切り捨てるのは、
とても自然で理にかなっている。
現実解。
口が滑って人間関係が変わるというのは、
ちゃんとそこから学べる人にとっては、
進化の証ということだ。
新天地に向けて一歩踏み出すということは、
一見とてもバカげていて無様だが、
我々の先祖の誰かがついうっかり、
バカを承知で海から陸に上がったからこそ、
哺乳類に進化することができたのだから。
boxcox.net、遠藤武。